シャイロックの子供たち
池井戸潤著「シャイロックの子供たち」(文春文庫)読了
帯の「ぼくの小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」
扉の「シャイロック:シェークスピアの「ヴェニスの商人」に登場する強欲な金貸し。」
二つの言葉がすでに私を引き込んでいる。
読み終えて、(やはり池井戸潤はいい!)とうならされた。
巧妙に張りめぐらされたプロット。
それぞれが独立した話としても成り立ちそうな章(話)が、しかし、徐々に絡み合い、重なり合って一つの大きな流れになっていく。
これは短編集なのだろうか?と思ったほど。
各章の終わりにもっと続きが読みたいと思い、その期待は高まりながらひとつひとつつながり解消されていく。
そして、一冊の終わりに、さらに(その次は?)と思わせる大きな謎が用意されている。
答えは、読者が自分自身で見つけるしかないのか?それともどこかで筆者がまた与えてくれるのだろうか?
(その時、もし自分だったならどうしたであろうか?)
小説も映画もその問いかけが大切だと思う。
池井戸潤は、銀行を舞台にした小説を著す。しかし、そこに描かれているのは、銀行に特化したことだけではなく、どんな職であっても感じるであろう共通の喜怒哀楽、苦難、葛藤だろう。
隣の芝生は青く見える。しかし、そこに行けばやはり枯れ葉もゴミもある。
JRAの捺印が押された帯封の箇所がとてもとても印象的だった。
雨足が強くなってきた。台風17号の影響か?
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